ミュージカル「憂国のモリアーティ」感想

ミュージカル憂国のモリアーティ感想

 

 遅れ馳せながら、感想をアップします。
 本当は、大阪公演が始まる前に…とか思ってたんですけど、千秋楽から一週間以上あいてしまった……。
 では、まいります。(敬称略というか、呼び捨てしててすいません)

 

 発表になった昨年12月のツイートを振り返ってみると、「うわあ。これは見たいかも。しょごと、平野良って、すごい見応えありそう!」て言ってました。「モンスター2人のダブル主役、間違いなさすぎる」と。(ところで柏原市って遠い…ってのも最初から言ってましたねwww)
 どちらも一目置く役者さん。最推しの役者さんというわけじゃないけど、二人の出る舞台に対するあまりの信頼感というか。そりゃ行かないわけにはいかない。

 

 いやー……すごかった。
 すごかった(しみじみ)

 

 東京公演も一回入れたんですが、もう幕間も、終わってからも「すごかった」しか出てこなかった。友達と話してたけど、みんな口々に「凄い」しか言ってなかった。語彙力喪失ってこういうことを言うんだよな…て久々に感じました。(ちなみに、余談ではありますが、同じような経験は「おん・すてーじ真夜中の弥次さん喜多さん」を見た後、「可愛い」しか出なかった時と、「最遊記歌劇伝」を見た時「二次元が三次元、二次元が三次元」と言い続けるしかなかった時に味わいました…語彙力喪失)
 まだ五月だったけれども、「これ、今年イチかもしんない」と真剣に思いました。まだ半年もあるんですがね。ここから楽しみな舞台もいくつかあるんですがね。なんなとく、これが一位な予感がひしひしと。


 本気で、最初に見た時、スタンディングオベーションしたかった。さすがに一人で立つ勇気はなかったけど、でもしたかった!! そのくらいに圧倒されてました。これは生で見てしかるべき作品でした。大阪千秋楽では思う存分拍手できて大満足です。スタオベってさ……もちろん、したくてするんだけど、自分の感動優先じゃなくて、役者さんにお疲れ様!!な思いを届けたい時が多いし、「立ち上がらずには居られない」みたいな感覚ってほんと久方ぶりだった気がする。(そして中には「仕方無く…」な時もあるからさ……立たないと見えないんだよ)。
 「もっと回数入れるんだった」と後悔した作品も久方ぶり。いや、行けるものは行く人なので、推しの舞台は可能な限り回数入れようとするけど、今回は「まぁ楽しみだけど、2回くらいでいいかな…」て思って、スケジュールに入れてなかったんですよね。行けたら行こうかな、みたいな。シフトの関係で全然行けないことが判明してがっくりしてたんですが、もっと休みなり早番申請すりゃよかったてなりましたとも。でも、2回だけでも入れといた私、正解だったと褒めてあげたい。

 

 始まるまでは、「演劇モンスター二人なんだから、わざわざミュージカルにしなくてもなー…」と、ちらっと思っていたけど、開始早々に歌声の力というものを見せつけられた。あれは魅せられてしまうよ……。フォロワーさんが始まる前に言ってくれてたけど、本当に顔面偏差値だけが高めのやつとは一線を画してました…。なんなのアレ……。しかも、大抵ひとりやふたり「ああ…残念…この人だけ下手…」みたいなのが出てくるところだけど、一人も下手な人がいない。アンサンブルさんまで、みんなキレっキレ。声量ばつぐん。美しい。空気の圧みたいなのが、ビンビン伝わって来て、ずっと口角あがりっぱ。凄いものを見ると、人間わくわくして笑っちゃうよね。主演二人がもの凄いのは百も承知なつもりだったけど、掛け算でさらに倍ドンって感じの相乗効果。二人で歌うとことか、ひょーって背筋震えるくらいでした。一瞬も視線を外させない、2時間半があっと言う間に過ぎていった。

 本当にすごかったことがわかる、LINEを友達に送っていたので、見せておきます。私興奮しすぎ。

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熱いな…ほんと。 

 

 あと、見た目完璧ですね!! 私は発表になった瞬間にコミック買いに行って読み始めた派なんですが、ほんと見た目みんな原作のまんまって思いました!! 写真はちょっと…と思ってたけど、実際見てみたら、全然まんまだった。特にモリアーティ側はすごいな。ルイスとフレッドの見た目にとにかく驚いた。「最近の2.5はさすがだなー!!」てなるけど、正直に言うと、鈴木勝吾があんなに化けるとは思わなかった。良い意味でも悪い意味でも、もっと鈴木勝吾が見え隠れするんじゃないかと思っていた。そしたら、鈴木勝吾なのに鈴木勝吾じゃなかった(この書き方で伝われ…) 声もいつものしょごと違う感じ!! 多分、全然キャスト知らずに連れて来られてたら「え?!」てなってたはず。社中さんに出てる鈴木勝吾くらいしか最近は見てないので、余計なのかもしれないんですが、声が……ちょっと思っていた彼のものとは違いました。アニメ化とかしてないのに、声のイメージも近くて「あー寄せてきたー!!」てなる不思議感覚でした。わかります? アニメとか声がもともとあるような作品の2.5次元にあるあーすごい、声優さんの声に寄せてきたなぁ!! すごいなぁ地声違うのに!!」てなるやつ。あの感覚に陥りました。コミックしかないのに。そのくらいイメージ近かったという話です。

 

 内容も、原作に忠実だし、一部ちょっと違う所はあっても、分かりやすい作りでした。でもこれは原作知らない方、大丈夫だったのかが聞きたい所。台詞を音楽に乗せる感じのミュージカルしててもちゃんと聞き取れたから良かったけど、知らない人はあれを聞き取れたかなー…という不安も。まぁでも有無を言わせない感じの圧倒的な歌唱力だったし、演出も緩急あってわからないまま進むようなことはなかったと思うんだけど。
 観客をちゃんと「観客」として配置している感じの作りになっているのもとても嬉しかった。私はあのとき、モリアーティ達の生きている大英帝国にいる誰かだった。貴族かもしれないし、農民かもしれない。船に乗ってた船員かもしれない。でも、確かに、その犯罪劇を目撃する一人だった。特に、船の舞台が奈落からせり上がってくるシーンが秀逸ですよね。客電を点けるというのが、あんな効果的だとは!!って驚きました。まぁ普通舞台中に客電点くことないですもんね。
 まぁ難点を言うなら、「影絵はちょっと笑っちゃう」くらいでしょうかね。あれ、役者にやってもらったらだめだったのかなー…とかいうシーンがちらほら。まぁわかりやすくはあるんですが。某クリエの舞台思い出した………。私だけかと思ったら、友達も言っていたので、間違いない。


 生演奏もとても魅力的でした。私、「極上文學」の生演奏が本当に大好きで、知らない人にまでめっちゃ推してんですけどね(最近生じゃなくて残念…)。よくあんな緊張感のある演奏ができんなーと常々思っていたのですが、今回は本当に効果音のようなものまで出しておられるし、バイオリンの林さんに関しては、ホームズと一体みたいなところもあって、ここも「すごい」と…。楽器やってる演奏者のはしくれとして、本当に尊敬します。間違いなくタイミング見計らって、間違いなく弾かないといけないって、すごいプレッシャーだろうなぁ。もちろんプロなのだから、私の感じてるようなこととはまた違う気を使うポイントとかあるんでしょうけど。ホームズのお遊びにも付き合ってくれるバイオリン林さん、かわいらしかった!!

 

 あと、ホームズ平野良が常々楽しそうなのが印象的で。見るたび顔が違うので(特にお写真は)、本当の顔を見失いかけてるんですけど、今回は平野良だったなーと。生き生きしていて、楽しそうなのが伝わってきました。謎をみつけて高揚するホームズと相まって、なんかすごい好奇心と探究心の塊が生きてる感じが全面に。全面に!! そして体が常にどこか反ってる感じなのがツボでした。落ち着きねぇなあ!! モリアーティ兄弟がシュッと背筋正して立ってるのとの対比ができてとても良かったなー。くねくね。原作である手の平を広げて指先だけ口元あたりで合わす仕草もとても似合っていた。好き。
 ところで、個人的なことを言うと、私は以前うっかり平野良沼に落ちかけたことがあります。まぁとある作品を見て「あ、こんなにかっこいい役ができる人は無理!近づいてはだめ!!」と謎の一歩下がりができたのですが。かっこよかったらハマりそうなものを、逆にちょっと落ち着けた経緯がありまして、だからこそ、今回はむしろちょっとやばかったな……と。最後のカテコの挨拶で、「またな、観客者」てホームズ崩さずに言ったところで、思わず惚れそうになりました。ひゃー///てなるわ。………落ち着け……て何度もいい聞かせました。周りにハマってる人いなくてよかった「ようこそ!」されたら危なかった。

 

 鈴木勝吾さんは、「シンケングリーン谷千明!」て言ってた頃から存じ上げてますけど、ここ数年で随分確固とした役者さんになったなぁという感じ。少年社中さんの「パラノイア・サーカス」の、スタイリッシュ金ピカが本当にすごくてすごくて、なんなのこの人、すげぇ化けたなぁと思ったのも束の間…。申し訳ないけれども、薄ミュは未履修なので分からないのですが、同じく社中さんの「ピカレスク・セブン」でもひえええ…てなって、今にいたる。もうどんどん手の届かないような役者さんになっていってるイメージ。だいぶチケット取りにくい人になってしまうのでは?!という恐れが。まあ出るのは2.5だけじゃないし杞憂かもだけど。演技も上手いのに歌もあんだけ出来て、殺陣もできちゃうんだから向かうところ敵なしじゃない。こわー。お歌に関しては、「どういうことなんだ?」てなるのが多々あった。高いのに、ファルセットじゃない感じで、あの音量ってどういうこと?って。あー…これ、ほんと生で聞けて私は幸せだったんだろうなぁ。DVDにどこまで反映されるかわからないけれど、こんなに「生」であることが重要なのはない気がする。震える空気とか、ぴたっとハマったハモリの心地よさとか、劇場を一体化するものだった。指揮者よろしく最後ののばしをピタッと切る仕草も、この舞台を仕切ってるのは彼だというのがわかってとても素敵だった。犯罪卿として、いやらしいくらい完璧だった。カリスマ性抜群。命捧げたくなるよね。

 だからこそ、千秋楽の挨拶がかみっかみだったのがとてもかわいかったし、しょごちゃんと人間だった…とほっとした感じもありました。「あ、モリアーティのスイッチ切ったのね」と思ってしまった。あれが完璧したたかにこなしてても「おそるべし!!」てなったと思うけど、あのちょっと抜けた感じがあったから息をつけた感じもありました。

 他のキャストさんのあれこれも書き出したらきりがないな……。モリアーティ側はみんな仄暗さが出てるのが最高だし、ハドソンさんとワトソンくんの純粋でホームズを信頼する感じがかわいいしほっとするし、日替わりレストレードしゅんりーさん面白かったし(千秋楽でホームズが参加してたのもツボでした。何やってんの)、むかつく貴族達なダブリン男爵もエンダース伯爵も味があってよかった。ホープさんは、あのホームズに迫るところの緊張感がすごかった。でも何よりアンサンブルの人達が、とんでもなかった。開始早々のダンスというか、あのびしっときめる動きから「これはただごとじゃない」感が強くてすごかった。

 でもまぁ、鈴木勝吾にしろ、平野良にしろ、今回出てるキャストさんにしろ、推してる人は幸せだな…と思いました。今回は、「どや!!」て思っただろうなーって。「どうよ、うちの推し、すごいでしょ?」て。別に自分がすごいわけじゃないけど、好きな人が凄いと、得意な気持ちになるよね。あと、推してることに肯定感が生まれるというか。ちょっとファンがうらやましくなったりしました。(次のうちの推しの舞台も良いものならいいなー)

 そして、続編期待します。モリアーティの思惑が全部語られるあのシーンが見たいな。モランの過去編も見たいな。アイリーンの話も見たいな。けど、これ逆配役もとても見たいです。めっちゃ想像できるもの。ウザいくらくらい、躁鬱はっきりしそうな楽しげなホームズと、どこまでも計算高そうな胡散臭い笑顔の得意そうなモリアーティ。あー見たい。ミュージカルじゃなくて舞台化もされるようですけど、いっそ逆配役でやったらどうですか?ってなりました。……でも、そのくらいじゃないと、多分だいぶ比べられると思うのよね。「ミュージカルの方が良かったな」てならないように祈るばかりです。……どんな凄い役者連れて来たら釣り合うんだろうか。

 

 とりあえず、今後の動きも楽しみにしています。