『クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識』

 まずは感想文。いーちゃん2冊目、一気に読了。
西尾維新クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識』(講談社ノベルス
 例えばそこが深い海の底でも、例えばそこが広い虚空でも。彼の心は決して閑かにはならないし、そして彼もそれを望んではいないのだろう…と、漠然と感じました。殺人鬼でもなし、殺人犯でもなし、だけど彼は普通でもあり得ない。天才のように常識に囚われていないのにきちんと生きていける人とは違い、彼は欠陥品であるくせに普通に生きなければならない。自分が我慢すると決めた瞬間から。時々破綻が訪れて、だけれど彼は戸惑っていないと自分を詐称しながら生きていくんだ。死を熱望するようなフリをして。偽悪者ぶった偽善者の皮をかぶりながら。そんな語り部が鏡に映し出されて、深さと浅さを見ることができた。事件云々というよりも、そんな彼が可哀想だと思う話しだった。…そして、同時に羨ましいとも。

 …ま、全ては戯れ言で、傑作な話であるだけだけれど。

 葵井巫女子ちゃんは、それなりに素敵なキャラだった。思い切りすぎた部分が好ましい。「《前人未踏の神の山、だけど等高100メートル》みたいな」とでも表現したらいいでしょうか? ハイテンションキャラは好きです。間違った行動に出ていても、好ましいと思われます。

 あと、人間失格。大好きです。語り部にとって、鏡でも見ているような…そんな人間。できれば赤い請負人との決闘を見てみたいと思いました。どちらが買っても私は拍手することでしょう。

 青いサヴァンは可愛くてなりません。「それでもいーちゃんが大好きです」なんてチンケな言葉は吐かないでしょうし。「いーちゃんいーちゃんなんだよ。で、僕様ちゃんが大好きなの」と言うでしょうし。助けてなんて…きっと言わないだろうし。二人の関係に破綻が訪れないことを願ってやみません。

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)