「陽気なギャングが地球を回す」

 伊坂幸太郎、大ファンなので、これは初日に見に行かねば!!と意気込んでおりました。…が、ちょーっと期待はずれ。キャラは立ちまくっていて、役者さんたちも上手だし、文句ナシなんですけどね(もうちょっと大沢たかおが、嫌味ったらしい感じでも良かったくらい? アレはかっこよすぎ)。大倉浩二さんとか、古田新太さんが出ていたのも好感触だったんですがね。でも、内容が。あちゃー。せっかくの伊坂テイストはどこに行った?! もちろん大筋は変わってない…のでしょうけども。でも、全然違うじゃないか。あの細やかなフットワーク、微細な伏線張りがないと、伊坂作品とは呼べなくてよ。ま、音楽とか服装がかなりポップで、それは評価すべき点ではありますが。でも無駄に3Dとか使わないで欲しかった…なんかオバカな映画みたいで、ちょっとイヤでしたよ。雪子の車の運転とかさー、あんなルパンみたいなのは却下です。荒唐無稽なクライブノベルなんですけど、それなりの現実感が欲しかったな。

 だけど、とりあえず、何度も言うけれど、役者さんは最高です。見事です。特に佐藤浩市は響野だと思いました。もうちょっと演説が聞こえたら最高だったんですけど。派手なスーツ姿で観客を魅了する姿は大変良かったです。松田翔太くんもね、龍平くんと違っていいな、と思いました。似てますけど、もっと天才肌なんだろうな、と。目がね、すげー暗い時と、生き生きしてる時とはっきり分かっていいな、と。原作を読むともっと子供っぽいイメージでしたけど、覆されて、それはちょっと良かったと思います。あと「ロマンはどこだ」のセリフとか、いちいちニヤニヤできます。それだけで見る価値がある…と思っておきましょう。

 一番許せなかったのは、成さんと雪子が恋愛関係にある…という所。ちーがーうっ!! そんなのして欲しくなかったです。あと、成さんの過去とか子供のことも書いてないし。むあー。不消化ですよ。トリックというか、オチというか…アレもスカッっとするものでなかったし、「何が正解?」となってしまうのも仕方ないでしょう。そこんとこを押さえて欲しかった!! というのがことごとく押さえられていなかった感じです。

 きっちり原作通りで、映画ではなく、長いクール…ドラマでやって欲しいと思うのは、贅沢ですか?