『月にむら雲、花に風』

メス花の新刊もちゃんと買って読みました。
やはり、この作品は、他のBLとはちょっと一線を画すなぁ…。
現実味がある。

何度も書いていることですが、私はBLはファンタジーとして読んでいます。
出会い→好きになる→事件→いちゃいちゃ…という起承転結で「めでたしめでたし」で終わるのは安心できるし、エンターテインメントとしては正解で、そういう小一時間で読めるかるーいのを求めてて、そこにあんまりにもドロドロ重いのを持ってこられると、ちょっと引くんだけど、やっぱりたまには「BLだって文学なんだぜ」みたいなのも読みたいわけです。

メス花はちゃんと働いている感があるので、好きです。
別にそこだけにスポット当てても、十分に物語として成立する感じがある。
世界が嘘じゃなくて、ちゃんと作者が分かっていて書いている。信憑性ってね。そこにちょっと恋愛が絡む。
(あ、だから、恋愛がからまないのを「鬼籍通覧」でやってるんですよね…)
(ちなみに、リンクしている「楢崎先生」のシリーズは読むけどそんなに好きじゃない)
(今回まさかの花屋さんともリンク…)
医者としての苦悩を抱えながら、2人が成長していく様こそ見所なのです。
ぶっとんだキャラじゃなくて等身大、いそうなキャラというのも読み応えがある。

今回は特に篤臣の監察医しての独り立ちにかかる不安と重圧と悩みを丁寧に描いてました。

ていうか、椹野さん………奇談も書いてほしい、よ?

月にむら雲、花に風 <右手にメス、左手に花束8> (二見書房 シャレード文庫)

月にむら雲、花に風 <右手にメス、左手に花束8> (二見書房 シャレード文庫)