畠中恵『うそうそ』『アコギなのかリッパなのか』
畠中さん2作読みました。『しゃばけ』シリーズ第4段は、若だんなが江戸を出る!!…いやはや、読んでるこっちがハラハラしました。兄や達ではないけれど、読み進めれば進めるだけ、若だんなが心配になってくるから不思議です。若だんなが頑張ろうとしているのは分かるのですが、読者としても「また熱が!」とか思ってしまうから……。しかも今回は頼りになる兄や2人が離れているし…。その分、家鳴は活躍してましたね。袖口に入っている3匹はたいそう可愛かったです。
それから内容のこと。食うに困らない。寝床もある。家族もいる。…なのに、不安で仕方ない。自分が厄介者に思える。そういう若者は少なくないと思いますが、その気持ちを遠慮がちに代弁してくれたなぁ…と思いました。それでも「慣れ」ていかなければならない。その上で少しずつでも変わっていけたらいい。うん、そうするしかないんだよな…と。
- 作者: 畠中恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/05/30
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『アコギなのかリッパなのか』は、読み切り。モト大物国会議員の事務所の事務員として働く聖が、珍問奇問を解説していく…というミステリっぽい物語です。この聖が凄い。21歳で、モト不良。今は中学生の扶養家族がいて、大学生と事務員の2足のわらじの生活……すげぇ。真似出来ません。そして、このひとくせもふたくせもあるモト大物国会議員のセンセイにむかっての暴言の数々。だけど、タヌキ達の多い政治の世界。聖の苦労は計り知れません。でも、ここまで頭が回ったら、きっと政治家でも、普通の企業でもきちんと生きていけると思います。
最後はきちんと、ほっとするようなラストでした。聖は、「アコギでリッパ」なんだと思います(笑)
- 作者: 畠中恵
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2006/01/14
- メディア: 単行本
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