「私は貝になりたい」

 中居君が凄かった。ただ、それに尽きます。
 もちろん、戦争映画(?)として大変素晴らしいものであるのは間違いないのですが、そんなことはもう前作とか前評判とかで分かりきっていることなので語りません。多分、見る価値はそこにない。みんな身構えるだろうし、それ以上のものというのにはならない。見応えたっぷりで、情感もたっぷりだけど、私が推したいのはやはり中居正広の演技。
 絶食して朦朧としていたというラストの部分。
 闇を湛えた目つきと痩けた頬。
 寒気がする程でした。
 哀しくなるんじゃなくて、寒気がしたんです。
 あそこに描かれていたのは悲哀じゃない。憤怒だ。

 仲間さんは綺麗で強くて、まぁほんとに可愛い家族で、申し分なかったです。

 ただ、一つだけ残念なことを挙げれば……音楽が。私たいてい映画のサントラに使われる曲って「すげーなぁ」て思うんですが、これはちょっと「やりすぎ」と思った。あのね……豪華すぎるんです。ばばーんって。どどーんって。いやいや、いらないよ、そんな大音量、みたいな。劇的すぎて、ちょっと引いた。引いたっていうか、一瞬笑った。残念。久石さんの音楽はたいへん良いのですが、そぐわないかなー…なんて。もっと単音でもの悲しく…でも十分だったのに。特に中居くんのシーンは無音を推奨したい所。