『イノセント・ゲリラの祝祭』

 正直、「今回は会議ばっかりでいまいち!」て思いましたけど、読了後にじわじわと怖くなってきました。
 これが、この本こそが、作者が真に言いたいことで、それまでの4つはここに到達するためだけの布石だったんではないかと思えたからです。

 海堂さんの作品ってかなりかなり自分の意見を入れておられると思います。現役医師としての、意見。しかし、それは医療の現場では通らないものに違いなくて、相当つまはじきにされてるだろうなー…とか予想してました。モト看護師も同じ意見でした。で、何をどうしたって通らない意見をどうにかしたくて、メディアに流した。しかも、特集組んでくれるような雑誌じゃなくて、こういった「小説」という誰でも読めるような媒体で。興味のない一般人にも分かりやすいカタチで。まぁ当初から「AIを入れろ」というのが痛い程出てくるわけで、そんなものを知らなかった方にしたら、すばらしい案に見えるわけですよ。私もそう思いましたよ。だけど、そんな可愛いものだけじゃなかったんだ、と。身震い。

 彦根さんが咆哮した言葉こそ、海堂さんの言葉ではないかと。

 それだけのために、前作がある気がしてならないのです。面白かったです。バチスタもナイチンゲールもジェネラルも。ただ、上手い具合にこの話に持って行くための、登場人物がいかなる人物なのかとか、どういう状態なのかを表すための物語だったなら、おっそろしい。

 いや、ほんと、なんか危機感を覚えました。物語というには、あまりに……。生々しい。母の意見を聞きたいです。

 でも、『ジェネラル・ルージュの伝説』がもうすぐ発売らしいですね! それは超楽しみ!! デパート火災での将軍の働きー!! ああ、はやく読みたい。物語は、そうやって楽しみたい派です。

イノセント・ゲリラの祝祭

イノセント・ゲリラの祝祭