「最後の忠臣蔵」

号泣。久々に瞼重くて帰るのも大変なくらい。
予告だけですでに泣きそうだったのですが、予想を超え泣きました。
「え、そこまだじゃない?」てとこですでに泣いてたもんなぁ…
いろんな部分で良い映画でした。

そもそも、忠臣蔵が好きです。
高校時代にやってたドラマにかなりハマって以降、時代劇の中では別格に好き。まー主従とか忠義とか大好物という大前提があるからな。
そこにツンデレ萌えとか親父萌えとか親友の絆とかてんこもりに。あと疲れたオヤジが若い女子に振り回される年の差コンビ系が物語として好きなので大満足でした。


そう、最初はしつけも言葉もちゃーんとしてるお姫様の可愛いツンツンにめろりんです。親代わりの孫左にキツイのに、それが好きだからのツンだと分かる演技が光ります。かねさまのわがままにオロオロする役所さんも良し!
しかし、やはり一番のみどころは可音さまだと思います。
おおっと、男臭いかと思ったら、とんだかわいこちゃんが!みたいな感覚で前半が過ぎるのですが、後半は怒涛のごとく泣きポイントが。


戦争モノでも同じなんですが、私は常々「残された者」の悲哀に注目しています。残された家族とか、生かされた仲間とか。
死が美学ではないと思うけど、一緒に逝けなかった人は、どうしようとまだ生きなくちゃいけなくて、背負ったほかの命が重くて、非難や謗りを受け止めなきゃいけなくて…考えただけで泣けますね。
それが、主君の命令であるなら…なおのこと。

行き証人になることを命じられた佐藤浩市演じる寺坂吉右衛門と、隠し子を育てあげることを命じられた役所広司演じる孫左衛門。二人が邂逅するとこから物語が始まりますが、一方は討ち入り後に生きろと言われ、一方は討ち入り前に死ぬなと言われた人。
「どうして一緒に死ななかった」「どうして討ち入りしなかった」と言われ続ける身。
堂々と主君の命のためと言える立場と、理由を隠し通さないといけなかった立場。
どちらにせよ切なかったなぁ…。「自分だって一緒に!!」と強く思っていたに違いないのに、それは言えない。
その孫左が隠し通していた理由が知れた時の2人の関係もまた、こみ上げるものがありました。
「長い間勤め、ご苦労だった」
親友が重責に耐え、非難に耐え、生き抜いたことをほんとはもっと声高に言ってやりたいところを、それだけ言うためにやってきた寺坂にたまらん男気を感じました。

それから、可音さまの婚礼の日。次々に参列していく元家臣達の必死さにも涙しました。
孫左が報われた瞬間だなぁと思いました。

ラストの切腹のシーンも凄かった。
やっぱり「介錯」の感覚について、もうちょっと考えたいと思いました。
しかし、残された寺坂が一層可哀想な感じもしましたね…。