2007-10-04から1日間の記事一覧

今また同じ風が吹く〜日吉蘇枋のための物語第三章vol.1〜

挿管され、麻酔を掛けられた透子の顔は別人に見えた。 シーツを被せ顔が見えなくなると、もうそれが透子だと思わないでも済んだ。 開腹する時には、オレは一介の外科医に戻っていたはずだった。 肺に転移した癌は、リンパ節にまで及び、中途半端な除去など意…