『名探偵 木更津悠也』

麻耶雄嵩『名探偵 木更津悠也』(光文社カッパ・ノベルス)
 読了しました。うーむー……好きですけど、好きなんですけど、やっぱりメルが読みたい!!と思った次第です。私は名探偵は「ふふん♪」という笑みを浮かべ、頼まれてもいないのに事件をめちゃくちゃにしたり、頼まれているのに嫌々推理をするタイプが好きなのです(もしくはとことんおちゃらけたヤツか、とことんだらけたヤツか)。とにかく、真面目な名探偵は苦手です。…そして、語り手(ワトスン役)には、情けない感じの阿呆が良いのです(多少毒があっても可)。…何、名探偵より先に真相知ってんですか?! 香月さん、そういう意味では非常に新鮮な語り手ですけど…。そんで名探偵は名探偵でなければならない…とかいう微妙な美学のもと、木更津を名探偵であらせるべく、こそこそとヒントを出す。……どんな助手だ…。「木更津フェチ」な語り手です(←私的な感想…でも率直にその言葉が思い浮かんだ)。それこそ、自分の見たいテレビ番組に間に合うように勝手な推理をする銘探偵メルカトル鮎氏)とはるくらい変な人です。でも名探偵より頭の良い語り手は……嫌いかもしれない。

 そういえば、彼こそ、麻耶さんのどちらのシリーズにおいても、重要な位置を占める人でした。裏がありすぎます。なかなか好きになれない感じ。可愛いんですけどね…非人道的。あ、人道的なキャラなんて、彼のシリーズにはいませんか。そっかそっか。

名探偵 木更津悠也 (カッパ・ノベルス)

名探偵 木更津悠也 (カッパ・ノベルス)