舞城王太郎『阿修羅ガール』

 そんでようやく読めたので感想文〜
舞城王太郎阿修羅ガール』(新潮社)
 ああ…現代っぽいな、というのがまず抱いた感想。今時の女の子って、きっとこういう感じなんだと思う。好きでもない子とやっちゃったり。でも、結構純粋な部分とかあったり。そして残虐だったり。ぐちゃぐちゃの文章で、痛々しいくらいの思い切りの良さで話は綴られています。これは好き嫌いが激しいと思われます。三島由紀夫賞受賞した作品なのですが、多分頭の固い人にはついていけない。

 特に第2章、突然訳が分からない。寓話的になっているので、私もちょっと戸惑いました。そんな夢みたいな話をされると、「この人、薬物使用とかで捕まらないだろうか…」という妙な不安な気持ちになります。デビュー作からそういう文章書く人だと分かってはいたけれど、ますます洗練されてきたというか、なんというか。

 だけど、メッセージ性がないわけじゃない。その独特な、毒々しいタイトルの通り、「阿修羅」というものと、普通の人間が普通に生きることの難しさについて絡めて。そうだなぁ、生きているとひょいとしたことで嫌なことができるし、憎しみとか、難しいことは多いと思うのですが、「ま、いいことだって転がってるさ」…という感じかな?

 やっぱり、ムリに一般ウケするようなモノを書かないで欲しいな、とも思いました。舞城さんには似合いません。あと、女の子の一人称も。

阿修羅ガール

阿修羅ガール