伊坂幸太郎『死神の精度』(文藝春秋)

 昨日、伊坂さん読了。感想文から参りましょう。伊坂幸太郎『死神の精度』(文藝春秋)。やっぱり伊坂さんは素敵です。「こういう奇蹟があってもいいじゃないか」と言われている気分になりますから。些細だけど大それた幸せを味わうにはもってこい…って感じです。ミュージックが好きな死神がクソ真面目に仕事している様が愛おしかったですし、彼の仕事相手(つまり死ぬ予定の人間)も、味があって面白い。日常は単なる時間に過ぎなくて、けれど人間は愚かだから、それを豊かにしたくてならなくて…そんな客観視と皮肉が込められている話でした。そして短編集ですが、やはり想像通り、短篇を模した落ちありの一冊。だからこそ、ほろりときた「死神で恋愛」と「死神対老女」が好きです。「最善じゃないけど、最悪でもない」とか、「微妙な嘘は誤りに近い」とか…ぐっとくる言葉が詰め込まれてます。