「姑獲鳥の夏」

 映像化は難しいと言われ続けていた作品。でも、私は上手にまとまっていたのではないかと思います。うん、及第点。そりゃ原作に勝るモノはないとは思いますが。特徴としては…映像効果が凄くて、ちょっと眩暈がします。チカチカしたり、ぐるぐるしたり、とにかく酔ってしまうので、苦手な人は注意が必要。あと、昭和20年代の雰囲気が嫌いな人は無理かも。戦争は終わったけれど、まだ闇が闇として残っていて、混沌としている感じ。眩暈坂とか、久遠寺医院とか、イメージ通りだった感じがします。私はああいう雰囲気も好きなので、「おおっ、すげー、リアル〜」と思いますが、内容的にも、すこうしグロテスク?なので、「ミステリ」と思うよりは「怪奇」と思う方が見やすいのではないでしょうか? そういった意味では、CGの多用はいただけない…かな? 想像力に訴えかける作り方でも良かったかもしれません。
 役者さんのこと。京極堂(堤さん)の長セリフは見物です。「やっぱ本人だろ〜」とか「トヨエツだろ〜」とかいう意見が多いようですが、私は堤さんでオッケイだと思います。いや、寧ろ好きだ。淡々とした口調が似合いです。一つだけ難点を挙げるとするなら、着流しが紫だったこと…あれは黒ですよ、黒!! そして「鼻緒だけが赤い」のです。映像的に黒だと重すぎたんでしょうか? うむむむ、納得できず。
 猿…関くん…関口巽(永瀬さん)は……格好良すぎですよ、顔が。もっと猿であってほしかった。でも演技は上手ですね。彼岸一歩手前…ってな風情がいつもいつも出ておりまして、なかなかニヤリとする感じでした。ふらふらしすぎ。違う所見過ぎ。視線が定まらない。それでこそ関くん。拍手。心配してしまいます。彼の今後が。雪絵さんは綺麗でしたね。私は意外な配役でしたが。
 榎さん(阿部さん)は……そうね、正直な所、もっと綺麗な人がやって欲しかったのですが、あそこまで荒唐無稽が似合う綺麗どころはいないと思うので、阿部さんくらいで丁度良かったんでしょう。しかし「エノさんが、おとなしーい」と思ってしまいました。が、いやいや、あれは原作からあんなだった。どんどんおかしくなっていくんだ、あの人は。最初はわりとマトモだった。そして最初はあんまり活躍してない(そりゃ事件が事件なだけに、な)。そうなると、どうしても探偵大活躍な話も見たいと思うわけです。所で、安寅はあんな感じで良いのですか? 良々さんもいい味ですけど、もうちょっとマトモな感じでもよかったんじゃないか?
 木場修(宮迫)は…そうね、正直な所、もっと大きな人がやって欲しかったのですが、その上で実直で力強い演技ができる人っていないと思うので、仕方がなかったのかな、と思ったりも。うん、なんとか見れましたから、木場修に。「あの馬鹿」みたいなセリフが似合いますね〜。やっぱり木場修はエノさんと一緒にいてほしいと思うので、やっぱり他の話もみたいな〜と思ったりするわけです。所で、青木が堀部さんなのは、かなり嬉しいです。うぉぉぉぉぉ、こけしっ!! 正直、エンドロールが流れるまで、彼が青木だとは分からなかったのですが(ちゅーか、そんな端役まで名前があるとは)。不憫なキャラが似合いそうなので…青木でいいと思います。里村さんは、ちょっと違うな〜。私が勝手に想像していただけですが。
 久遠寺については、特に問題なし。うん、ストーリー的な問題が山積みですが、キャスト的にはいいとこついてきたんじゃないかな、と。特に恵が出てきていたのが嬉しかったです。ああいうちょーっとおかしな役が上手です。
 あっちゃん(田中麗奈)も可愛かったですね!! 男くさい中に、一人華が! くるくるよく動くあっちゃんぴったりでした。もうちょっと京極堂をなじるようなシーンが欲しかったかな〜? 
 ベストな役どころといえば、石榴でしょう!! 絶妙です。見事に京極堂の猫という感じ。ふてぶてしいし、だけど愛されてる(笑) ちなみに、京極氏本人については何も言いますまい。アレ、後で知りましたけど、「水木しげる」という役なんですね?(笑) 確かに最後紙芝居見てニヤリとしてましたけど。そっかー、水木さんかー……。びみょー。
 さらに、裏模様な、オタッキィな、同人的な思想も公表…といきたいのですが、さすがに表ではやめておきます。ええっと、中村春菊の同人誌を思い出しました。人間かけ算にもえもえしていたわけです。ごめんなさい、不埒な目で見てました。関くんが! 関くんが!! という感じなんですが、詳しく言うと色んな所から非難を浴びそうなのでやめておきます。
↑以上、ネタバレ。
 想像以上に時間がかかった感想文でした。…こんなの見に行ったその日に書けるくらいなんですけど、なんたって今は執筆中ですから。そっちを第一にしてますから!!←樹に対しての申し開き。