「花よりもなほ」

 今日は、仕事が終わってからT.Hさんと一緒に「花よりもなほ」を見に行きました。一言で言うと、「おなかいっぱい!!」という感じ(笑) 凄かったです。何がって、脇役達の濃さが!! もう、大満足。ほくほく。にやにや。

 岡田准一演じる「宗佐」は、父の仇討ちを決意して上京してきた若侍。これが格好いいのだ。てんで弱くて、情けない感じなんだが、可愛いのだ。自分のやろうとしていることが果たして正しいのか、間違っているのか…それを悩む姿はただひたすらに愛おしい。長屋の面々に馬鹿にされたりしながらも、日常を生きている。それから、穿ちすぎかもしれないが、長屋のうまく開かない戸に、彼の内面が反映されてるようで面白かった。…という感じで主役のことはいいだろう。私が言いたいのは、脇役だ(笑)

 まず、古田新太。素敵すぎ。もっとセリフ少ないかと思ったら、そんなことはない。いつもみたいに一言だけで主役を食うような、強烈なキャラクターではなかったけれど、味のあるオッサンだった。宗佐のことを気遣いつつ、長屋全体のムードメーカーとして飄々と生きてる感じが、見ていて素晴らしかった。特に宗佐を諭す所なんて。ええっおっさんや。

 あと、香川照之な。どうして、こうも小男っぷりが上手いかなーっ!!いけ好かない、プライドの高い、なのに八方ふさがりな感じ。よくよくあてがわれている役だと思うのですが、本当に上手。今回は萌えましたよ。「香川さんには萌えない」と樹に宣言していましたが、撤回します。たいへん可愛らしかった。

 それから、キム兄と千原兄。ええわー、こんな役もできる芸人さんは尊敬します。というか、彼等をキャスティングした監督に脱帽。キム兄とか、すごいハマり役でした。多分上手な役者さんがやっても駄目だったんだと思います。あと、上島とかトミーズ雅もな。普段見ているそのまんまの芸風な感じがしましたが、それがきちんとハマっていたのが良かった!!

 内容としては……個人的に加瀬亮さん演じるそで吉の話が良かったです。自分の幼なじみだったおりょうが、吉原に行きその後自分たちの長屋の大家にもらい受けられ……。最初は宗佐につっかかっていったりする、いけすかない野郎だったんですが、彼女が出てきたあたりから様相が変わってきました。その投げやりな生き方の根底にあったのは、家族というものへの不信感と、そして彼女への思いだったわけで…。ネタバレになるので、以下反転。→彼女に駆け落ちをしようと言い出そうとしたのですが、彼はすぐ諦めます。…その腹に、子供がいると知った彼が言った台詞が胸に染みました。「お前には新しい家族ができるんだな」そう言って、彼は自分の一番の願いを諦めるのです。そして、「お前が母親になって、しわくちゃのおばさんになって、老人になって……そうなっていく様を、ここで見ていていいか?」と……。「俺がその子の父親になるから一緒に逃げてくれ」とか陳腐なセリフじゃないんです。本当に、本当に、彼女が好きだからこそ、見守ることを決意。自分が幸せじゃなくても、好きな女の幸せな様を見届ける決意をするんです。なんていいオトコだ!! むちゃくちゃ創作意欲が刺激されました。「ただ、側にあるだけでいい。自分は不幸でも、なんでもいいから。ただ側にいたい。好きになってくれとは言わない。好きでいてもいいかなんて聞かない。ただ近くにいることを許して欲しい」なんてね!!! ←そんなわけで、「うわぁ、冬青が書きたい!!書きたい!!」ってなってます。

 それから、最後の「仇討ち」には笑いっぱなしでした。いいねー、いいねー、アホっぽくて。

 最後に、峰倉さんじゃないけど、自分は「しっかり者のちいさい子と駄目駄目な大人の男」という組み合わせに弱いのだと思い知りました。岡田くんがお父さんみたいにしているシーンは、終始「萌えーッ!!」でした。