西尾維新『零崎軋識の人間ノック』

 戯れ言シリーズはもちろんのこと、私は零崎シリーズも大好きです。っていうか、西尾維新すべの作品のキャラの中で、きっと一番好きなのは零崎双識さんなので、こちらのシリーズが好きで当然です。あんな変態のどこがいいんだろう、自分。あんなロリコンショタコンのどこが……。あんな「うふふふ」って連発している男のどこが………。でも仕方ないよ、「自殺志願(マインドレンデル)」という名前と、鋏が武器というあたりで、そしてスーツというあたりで、かなりツボなんだから。う…うん、あばたもえくぼ。でもよく考えたら殺人鬼だし。よく読んでみると、かなり強いし。よく見てみると、家族思いだし。うん、素敵。

 で、今回はその弟である軋識さんのお話。え…軋識さんって、意外に普通の人…っていうのが感想です。いかれてるんですけどね。あんな釘バット振り回す時点で、かなりいかれた零崎だと思うんですけどね。「〜っちゃ」とか語尾につけてて、キャラが変なんですけどね。なのに、なんだろう……この周りが濃すぎて、彼が普通に見えるってのは……不思議な効果だこと。まず、普通に家族思い。コレは零崎だから当然で…でも、別に人識くんみたいに「殺す殺す」連発しないしさー。負ける話だからか、なんだか弱く見えてしまうわけです。人識くんとかが化け物すぎるから余計。軋識さんは人間っぽい零崎だ。それは、彼が二重生活してるからかな? 14歳の少女に恋する、ある意味兄にも負けない変態。んー……相手がアレだから、恋って言っちゃってるけど、おかしいと思うよ、軋識さん。陶酔っていうか、倒錯っていうか、崇拝っていうか……。そうすることで自分を慰めている落ち着かせている、とてつもなく救われない人だ。しかも、最終話で「最強」に絡まれてるし。不憫だ。読んでる方は楽しいけど。あの赤い人は、昔からあんなめちゃくちゃだったんですね……素晴らしいです。

 あと、人識くん。彼についても言及したい。戯言遣いに会う前は、可愛らしい少年でしした。兄に振り回されてる不幸な、だけどめっぽう強い少年。中学とか行っちゃってるのが意外でした。テストとか気にしているあたりが、なんか信じられないくらい。それから、出夢くんに気に入られたのは、そういう経緯なのか…と納得。戯言遣いが壊れてるような時に、彼等は彼等なりに色々複雑な関係性があったわけですね。面白いなぁ。

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)