古野まほろ『天帝のつかわせる御矢』

 はい、ようやく読了致しました。相変わらずの冗長口調で、態とらしい前時代的な語りで、ルビがむかついて、歴史背景が意味不明で、今回はおまけに前作を読んでいない人を置き去りにする物語で……。ただ、何度も言うけれど、クセになります。やばいなぁ。ほら、くさやとかまではいきませんけどもね。納豆とか、ゴーヤとか、このわたとか、全員には受け入れられないけども好きな人は徹底的に好き…みたいな。こんなのが描けるのは確かに才能なのだろうと思わせるのですが、今回は「ああ、こういう風に描く人なのか」という印象もありました。息をするように、描いているのかもしれない、と。奥ゆかしい

推理合戦が健在なのは嬉しかったですが、まほの相変わらずの弱者っぷりが痛々しい。それから、前作で楽しませてくれた吹奏楽部の面々があまり出てこなかったのが残念。うーん、次があるなら、もっと吹奏楽で読ませてほしいなぁ。たまに出てくる音楽用語にくすぐったくはなりますけども。

 ラストのカタルシスについては、もうそういうものと受け入れるしかないのか……。唐突にSFになったような印象を拭えません。うううう…エンターテインメントだから仕方ないのか。

 で、どうでもいいことですが参考文献が「前作に同じ」なのが笑えました。

天帝のつかわせる御矢 (講談社ノベルス)

天帝のつかわせる御矢 (講談社ノベルス)