海堂尊『螺鈿迷宮』

 「チーム・バチスタ」シリーズ(?←そんなシリーズ名でいいの?)の、エクストラとも言うべき、この『螺鈿迷宮』。白鳥はここでもやんちゃに活躍しております。その名の通りに火喰い鳥な活躍です。そして、彼の唯一の部下であるという「氷姫」の活躍。……活躍…というか…え、そんな子だったのですか…と。ドジっこ属性は知っていましたが、断然小さくて、幼児体型で、眼鏡っこで…てのを想像してました。そうですか、勘違いでしたか。でも、白鳥とはいいコンビだと思います。

 主役は、「アンラッキー・トルネード」を自負する天馬大吉くん。不真面目な医学生。おめでたい名前なのに、次々と彼に不幸が舞い込んできます。良太郎並です(電王のね)。潜入捜査を友人から頼まれ、ボランティアとして病院に行き、怪我を増やし患者となる……その件がもう面白くて。ただ、そんな中でもホスピスとかの在り方を強く考えさせられました。やっぱり仕事はないと駄目なのかもしれないなぁ…と。螺鈿の部屋の描写はまばゆくて、ちょっと気分が悪くなりそうでした。

 それにしても、海堂さんという人は、地の一人称の文章が上手いと思います。会話が軽妙だとか、情景描写が巧みとか、そういう作家は多いですが、一人称の地の文が笑えるんだから、凄いなぁ。言うなれば「喩えの描写」でしょうか? 直接比喩、間接比喩が心地よいのです。あおいいみここちゃん(西尾維新さんのキャラ)まではいきませんけど、彼女をちょっと思い出しました。でも、『バチスタ』と『ナイチンゲール』を読まないと、ちょっと分からない部分もあり。ナイチンゲールはやく読みたい。田口先生がちょこっと出て来たのは嬉しかったですね。

螺鈿迷宮

螺鈿迷宮