『ミミズクと夜の王』
万人にお勧めできる本です。児童文学としても、とっても良質だと思います。だから、もっと売れてしかるべき作品だという気がします。
話自体はとってもシンプルで王道。いや、だからこそ泣けるのかもしれません。
ミミズクという少女が美しく寂しい夜の王に、ひたすらに焦がれる話。絵面は暗いし黒いし、血なまぐさいし、お世辞にも綺麗とは言い難いのに、存在はどこまでも清い。愛されることも、泣くことも知らなかった、獣になりたかった少女が心を手に入れ、その上で幸せを選ぶ……そういうお話です。
ラストのあたりはとにかく泣けます。一番優しかったのは夜の王だと思うのですが、個人的にはオリエッタの凛とした感じが好きでした。自由になってもどこにもいかないという選択ができる。その姿勢が、私が一番描きたい強い女性の像なので。
一気に読んだらもっと泣けた気がしますが、電車の中で鼻水をすすりまくった程度には危険でした。
今後読む方がいらっしゃったら、一人でいる時に…といってあげたいです。
- 作者: 紅玉いづき,磯野宏夫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: 文庫
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