海堂尊『ジーン・ワルツ』

 『チーム・バチスタ』の海堂さんの新刊です。図書館希望出して、結構はやくに来た。基本、発売された順に読みたいんですけども、まぁ独立した話だからいいか。でも、桜宮サーガの一端というか、ウラではありますよね。時系列はつかめませんが。
 この人の作品はいつも法医学的な見地…まぁ分かりやすく言うと「死」に対する謎が先行していると思うのですが、これは逆です。「生」。妊娠と出産。それでも現代医療に対する皮肉というか、問題提起をちくりちくりちくりと交えてきます。絶対この人、現場で嫌われてるなぁ…という感じが否めない書き方です。好きですけどね。
 それから、この作品は科学的でない部分が結構泣けます。「母」というのは無条件に最強だと思います。子供を産み落とした瞬間から母なわけではない。命を宿した瞬間から母は母なのです。そして、悩んだり必死になったりするのも含めて、母なのです。それを情感たっぷりに書いていない所が凄いのです。主役があくまでも淡々としているからな。
 しかし、魔女のラストの冷血魔女っぷりに、戦慄します。どこまでも、どこまでも用意周到で、「こぇぇぇ」と言いました。ただ、代理母出産というのはやっぱりまだまだ問題が多いことなのでしょうし、だからといって、生まれた命には何の罪もないし、守られてしかるべき存在なのだと私は思っているのですが………いやいや、でも、凄い。

 余談。母が、先に読んでいたのですが「……ああ、映画化してほしいなぁ………」と漏らすので、「配役は誰で?」と聞くと「……産後で大変かもしれんけど、しのりょーで」……気を遣っているのか図々しいのか分からない回答ですが、まぁそういうことらしいです。読む前からイメージを植え付けられてしまいました。でも、悪くない。そんな感じ。颯爽とね。「でもあの先生がなぁ…誰かなー…」というので、あえてここで提案。清川先生は、唐沢さんか、トヨエツか、椎名さんあたりで。最初に浮かんだのは豊原さんですけども。もうちょっとほっそり系で誰かいないかなー…色男。渡部さんもいいんだけど、身長は高い方がいい。真田さん…でもいいかな…。←結局上から目線。
 はい、母に問い合わせた所、椎名桔平が良いそうです。うん、いいんじゃね?

ジーン・ワルツ

ジーン・ワルツ