海堂尊『ブラック・ペアン1988』

 海堂作品のすばらしい所は、結構平然と医学用語とか出てくるのに説明は簡素でそれでいてキャラクター重視な所だと思います。キャラ小説は賛否両論あると思うのですが、でも私は破綻さえなければ好きなんで、大いにこの手法でやってほしいと思います。
 そして、桜宮サーガの第一作と言って過言でない過去編とも言うべきこの作品。リンクしまくり。すべての作品の根源…かもしれませんね。全部全部出てきたもん。(くそー…黄金地球儀も読まないと駄目かな?) まず目につくのは、高階講師。かっこよすぎる。食えないタヌキの若かりし頃。まぁタヌキになった理由が分かるというか……。で、まさか田口先生達は出てこないだろうと思っていたらば、出てきた。可愛らしい学生さん達。でも速水先生のふてぶてしさがいいですね。
 ただ、私は渡海先生も結構好きだと思いました。ある意味人間味あふれる外科医だと。映像化するなら是非香川照彦さんにやってもらいたい。そして、世良先生もたくましく成長していると思うので、そろそろ本編(現代)に出てきてもいいんじゃないかなー…と思ったりします。どこか他府県に出ているんでしょうかね? あ、留学とかしてそうね。楽しみです。この88年の感じだと玉木宏なんですけども。

 ただ、この問題のブラック・ペアンに関しては、もうなんというか、タイトルからなんなとく予想がつくというか……。きっとそういう内容なんだろうな…という予想をそのままラストに持ってこられて、残念なような嬉しいような。あー…でも、はやく桜宮サーガの新刊が読みたいよ。

ブラックペアン1988

ブラックペアン1988