「Being at home with Claudeクロードと一緒に」

松田凌くんの役者魂を見た!!

正直なところ、私松田くんて第一印象がグリドンで、その後はメサイアで、その後スポーツ王者に出るような動ける子っていうイメージでしかなかったので(しかないというか、符号が増えてはいるけども!)そんなに興味はなかったのですが、ちょっと今回のはやられたなぁ……。
怪我をもろともせずに最後までやりきったどころか、鬼気迫る思いの丈をぶつけてこられて、ひたすら拍手しました。役者さんすげー。
前作の相馬くんや伊藤くんの「イーヴ」を見ていないので、なんとも言えませんが、凄い似合いの役だったんではないかな、と。



まぁ正直なことを言いますと、2列目で流血しちゃってるのをガン見しちゃったのでラストの方は心配で心配で泣きそうだったのですがね……。こんなに集中できない舞台もある意味初めてだろう、くらいの。
頭の近くの怪我は血がよく出るのも理解の上、舞台上では簡単に止めることなんてできないのも理解の上、でもさすがに顎超えて首のあたりまで汚れてくると「大丈夫?!」て気持ちが強くなりますよね。

…まぁでも落ち着いて考えてみると、私は凄い良い回を見たんだろうな、と。
並々ならぬ集中力で全ての役者さんが挑んだ回だったんだろうな、と。


理由は明かにされていないのですが、22日のマチネ回、凌くん初っぱなから右眉の上のあたりを怪我されてまして。最初私は返り血浴びたとか、ケンカしたとかいう記号を付けるための演出かなーと思ってました。でも血の滲み方がリアルで「あれ?」と思ってたら、服にも赤いシミが付くし、だんだん酷くなって血が流れて来てて!! やべ、これ演出じゃねぇって思ったら一度捌けた瞬間に汚れた衣装換えて来られて!! どうした、その傷どうした?!てことでハラハラ。


舞台戻って来られた時に、一瞬血は止まってるように見えたものの、そこから激昂するようなシーンも多くて、またたらーっと流れてきたわけですよ。「あ、でもまだこれは前方の人にしか見えないかな…?」とか思ってたんだけど、感情の高ぶるままにごろごろ床に転がるような一場面があって、「あ、横に流れた…これは見えちゃう…」と。もう血の心配しかしてないですよね。
誰か止めるんだろうか、いや、でも止めないよね。
周りが助けることもできない、一人の激白が続くラストのシーン。


壮絶でした。圧巻でした。


まさに身を切るような、という表現がぴったりでした。
血を流しながら恍惚とした表情浮かべて「あの人」との一時がいかに満ちあふれていたかを語るシーンはすごかったなぁ。語彙力なくてすいません。痛々しい美しさに溢れていた…って中二みたいな表現しか思い浮かばないのが悔しいです。


多分ね、この血だらけな回のみを見たら「はらはらした…」てだけで感想を締めくくるところだと思うんですが、この公演はスイッチキャストで刑事役と速記者役が入れ替わるので、両方見たいと思って、ソワレも取ってたんですよ。

ソワレはちゃんと手当もした後で、テープ貼ってたし、気にならなかったので落ち着いて見られましたが、繊細でいてギラギラした感じの圧力みたいなのはそこまで感じなかったので、ゆっくり落ち着いて考えると、やっぱり「マチネを見られて良かった」てなりました。
吊り橋効果と言われたらそれまでですけどね。

刑事さんに合わせて演技を変えてるのかな、と思うくらい台詞は同じなのに、全然別物の舞台でした。まず立ち位置とか動きが全然違うんですよ!! 何それ、自由!! 唐橋刑事はそりゃもうぐるぐる動き回るから、めまぐるしいんだけど、松田くんも机への乗り上げ方が強引だったり荒々しくて。いっぽうで、指先を意識するような仕草で指輪を際立たせるみたいな所作での芝居を見せる山口刑事の時は、言葉と表情で魅せるみたいな!!


いやー、面白い違いでした。

あと、ぶかぶかで首周りがだるだるのニットだったので松田くんの肩が出て、結構エロかったのも良かったなぁ。白い肌と、後ろ向いたりしたら肩胛骨まで見えてさ。ああ、これは魔性の…みたいな気持ちになりました。それだけ若くて美人さんだったらそりゃあ引く手あまただっただろうね……。

そんな「彼」が出会った「あの人=クロード」……彼の真実の愛はどこにあったのかだけが気になります。イーヴと同じだけの幸福と満ち足りた思いを彼も感じていたなら良いのですが…。