片山裕祐『サスツルギの亡霊』

 神山裕右『サスツルギの亡霊』(講談社)を読了。母が図書館から借りてきたものを勝手に拝借して読み切りました。『カタコンベ』で江戸川乱歩賞受賞した神山さんの2作目です。ええっと、神山さんとは同い年です。すげぇ。さして特徴も経歴もない同年代の人が頑張っているのを見ると、疼くものがあります。自分もだらだら生きてる場合じゃねーやって。しかし久々に本を読みました。ちょこちょこ、昼休み中も本を開いたかいがあって、本を読む楽しさを久方ぶりに思い出した感じ。途中で脱落しそうでしたけどね。のってくるまでが長い小説って、ちょっと苦痛。尻窄まりな感じも嫌ですけどね。
 さて、感想は……とにかく寒い!! 寒いって!! 冬に読むもんじゃないです。南極の越冬隊を描いたミステリ。見事だと思います。カタコンベの時も、確か全然経験はないけど、資料を読みあさって書いた…という感じのことを言っておられたので、今回もそうなんでしょう。まるで経験者のように描かれる風景と情景にびっくりしました。でも、ミステリとしての筋立ては好みではないかな? もう少し、人物を描いて欲しかった感じ。主役とお兄さんのこともあるし、その他の主要な登場人物にもっと味があったら…と思いました。ただ、ラストの方はスピード感もあって読ませます。素敵です。実直に真面目に作品を積み重ねていって欲しいと思う作家さんです。あと、どうでもいいことですけど、名前が綺麗で好きです。

サスツルギの亡霊

サスツルギの亡霊