藤原伊織『シリウスの道』

 さて、今日も一冊本を読了。藤原伊織シリウスの道』(講談社
 伊織さんです。原点に返ったような、そんな作品でした。『テロリストのパラソル』とリンクしてやがる!! うわわわ、前ってどんな内容だったっけ?! 凄く読みたくなりました。でも、とりあえずリンクしてるだけなので、知らなくても読める作品ではあります。やはり、無骨で不器用な男を描かせたら藤原さんの右に出る者はいない。今回はいつもと違って、多少はお喋りで、仕事にも真面目…というか、熱意を持って取り組むタイプではありました。…が、それでも、なんというのでしょう? どこか、世間から一歩引いた感じで、いつ枠組みから出てもいいや…という雰囲気。朴訥とした、斜に構えた、だけど一途な……いつも通りの、藤原伊織の描く大人のオトコ。素敵でした。
 恋愛模様も、夢も、上手く行くことはマレで、だけど、今回はそれでも良かったと思えました。何も変わらなくても、得たものと、過ぎた時間の重さに気づけたら、それで良かったんだと。
 過去は、一概に美しく、甘美でなければなりません。その回想が、浮かぶようでした。あの日、3人は幸せだった。それだけで、十分だと…きっと、彼等は今思うのでしょう。

シリウスの道

シリウスの道