上遠野浩平『海賊島事件』『禁涙境事件』(講談社ノベルス)
EDはどこまでもむかつくけど、凄い。ヒースロゥが果てしなく格好良すぎ。キャラ的に語らせるならそんな所。ヒースロゥはね、海賊島事件でレーゼさんを護っている姿にうっとりしました。乙女が憧れそうな感じです(笑)世界も動かしちゃうかというような凄腕の騎士が、1人の女性のためだけに動くって、素晴らしい。ちょっと考え方とか間違ってるけど。好きになったらとことんっぷりが面白すぎます。でもEDじゃないけど、彼が王ならどんなに世界は素晴らしいだろうと思わせる騎士っぷりでした。そんで、強すぎます。EDに関しては……海賊島では、かなり裏方に回った感が強いのに、謎を解いたのは彼なもんだから、どうしてもミステリ的な読み方をすると「おいしい所ひとりじめ」みたいな感じがしました。まあそれでこそEDなんですけど。ただ、禁涙境の時はびっくりしました。初めて明かされた2人の過去に……ちょっと恐怖を覚えました。ここではヒースロゥがまたいい男なんだ。親友をどこまでも気遣うし。見守るし。止めるし。で、ここにきてEDが不安定になっているのが怖かったのです。次の残酷号で彼はいつも通りの彼であれるのかどうか……。不安になってしまったというわけです。
内容的に言いますと、ここまでファンタジーで魔術とか出てくるのに、ミステリの形式になっているのが凄いと思います。「なんでもあり」なのに、制約ができる。それはやはりしっかりとルールが決まった世界だからなのだと思います。水晶を創り上げる魔術を使える男性と、水晶の中に閉じこめられた美女の死体。密室。ファンタジーなのに、十二分にミステリとして読めます。素晴らしい。色んな人が、過去に絡んでいるのも面白いですが、そろそろ人物の関係図が欲しい所です。
- 作者: 上遠野浩平,金子一馬
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/12/13
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禁涙境事件 ”some tragedies of no-tear land”
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: 講談社
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