「パラノイア★サーカス」感想

一週間以上経ってしまいましたが、感想です!!


私はもともと社中さんの舞台が好きです。
ネバーランド」で号泣した時から、ファンになり、その後の公演は全部見に行ってます。(実はネバランひとつ前の「好色一代男」も生で見てましたが!順番勘違いしてた!)
あのファンタジックで、華やかで、ほっこりする感じに魅了されてる人も多いかと思います。

で、そんな社中さんと「東映」のコラボ。うわぁ、たぎる!!と思っていた反面……正直、ちょっとだけ不安視もしてました。
稼ぎ団みたいに、金金しくなりやしないかなーとか。
東映さんの手が入ると、社中さんカラーが押さえられてイケメンキラキラ舞台になってしまうんじゃないかなー、とか。


でもねー、ちゃんと「少年社中」の舞台だった。「少年社中×東映」だった。間違いなかった。
幕がバンっと落ちて、そこを「なんじゃこりゃあぁぁ!」と言って飛び越えてくる唐橋充松本寛也、仮面を着けて微動だにしないキャストさん達を見た瞬間に、「ふぁあああ!」てなって、きたこれ、社中さんの世界感来たー!てなりました。江戸川乱歩の世界で、社中さんで、そして遺憾なく東映俳優さんも使われていた! 毛利さんに、ただただ「ありがとう」と伝えたい。(初回とか次の時とか、まだ余裕ありそうだったので、その時にお話するんだったと今頃後悔。千秋楽は長蛇の列でしたもんねー)



これが最初の観劇体験だと言う人は、とても幸せ者だと思います。
(だから、こういうのじゃないのの方が実は多いのよ、と……教えてはあげたい)



内容は……まぁあらすじ色々流れてるので簡単でいいかな?
江戸川乱歩が、自分の作品を芝居仕立てにして上演しているサーカス団があると知って編集者と抗議しにやってくる冒頭から始まります。
しかし、サーカス団員は誰も江戸川乱歩など知らない、と言いはる。あくまでもこれは自分達の作り上げたものだ、と。江戸川乱歩は、彼らが一種の妄想に取り憑かれて、自分達が江戸川乱歩のキャラクターである思いこんで生きていると予測を立てます。パラノイア。偏執病。そして一人の妄想ではなく、集団それを増幅させている。興味を持った乱歩は、小説のネタになるとそこに止まることを決意しますが、サーカスに芝居ではない本当の殺人事件が勃発。
突然現れる謎の怪盗アルセーヌルパンに命を狙われつつ、怪人二十面相との対決も始まる…
そんな感じの始まりです。
二十面相が奪ったのは「謎」そのもの。ではいったい、その謎とは何なのか………。
深淵に迫ってくると、その「謎」が痛々しく切ないものになるわけです。誰が誰のために作り上げた謎なのか、誰が誰のたに奪った謎なのか。
うつし世と夢、妄想と現実、本当と嘘………いくつもいくつも交差していく怒濤の展開。

毛利さんが好きな、独特の繰り返しの技法が、今回もきらきらと鮮やかに組み込まれてました。あれにやられるんだよなー!! ああいうの小説じゃちょっとできないもんなー。
そして、泣けるのに、瞬時で笑わせて、また泣かせるという、凄い泣き笑いを経験させられます。涙ボロボロなのに、くすってなるの。そんなでまたすぐにグスグス鼻すするハメになるの。
でもこれが醍醐味なんだよなぁ。



以下、出でくるキャラでまとめていきます。こっからは流れとか気にせず初っぱなから最後のネタについてまで書いてるので、DVDまで楽しみを取っておきたい方はスルーして下さいな。ナミコシ・ナカムラコンビについては長くなるので一番最後にしてます。



【ユウレイ時計】竹内尚文さんまず、ユウレイ時計の尚くんがふわふわっと客席を練り歩き、ふわふわっと可愛らしく幻想的な空間に作り上げるのにまず笑わせてもらいました。尚くんこんな可愛かったかなー!! 時限爆弾ゲームは2回も当たりました…ww
そして、ずーっとずーっと舞台上にいるのがすげぇな、と。影の主役はこの人だと思います。ほんとにタイムキーパー。
客いじりも最終的には堂に入ったもので、お客さんも慣れてきていて面白かった。
彼が、小説家が昔飼っていた犬だというのを知っていた上で、この舞台を見ると、またちょっと違って見えて来るのでいいです。ずっと一緒に居たかったんだろうなぁというのが分かる、わんこ。言葉が通じたらいいなぁとか思っていたわんこなんでしょうね。寝坊したご主人を吠えて起こしたりしてたかもしれない。そう思うと、なんだか「心配していた」というのの最たるキャラな気がしてね………。泣ける。
ライトが当たっていない部分でも、時計ちゃんの動きが可愛いので、ほんとこれもずっと見ていたいキャラでした。だるそーに寝てる時とかも犬ならでは。



【イス職人】長谷川太郎さんそして、イス職人。最初おどろおどろしい感じで、客席の人を連れていくのを見た時はさすがに「え??」てなりました(社中のスタッフさんなんですよね。この方も、微妙に演技されていて結構上手だったww )。で、イス職人太郎さんには拍手を送りたい。イスネタと小話ネタ、日替わりどころか、回替わりでした!! ええー凄い!! もうびっくりですよ。少年励ますシーンも全部違ったのかな……? 全部知りたい。全部あげといて欲しい……。(その後台詞のある唐橋さんも結構違ったのでな…。私は昨日の「当たってたぜ!」とか可愛かったと思うんだけど、「おまえいい加減にしろよ」とか「今日のは面白かった」とかも結構好き)
「いっす」「ちぇあー」と語尾につけて、笑かせてくれました。「かうちっ!」は秀逸。吉井さんに蹴られたり乗られたり、なかなか美味しい役でしたなー。この人の二十面相だった時の役の感じがとても好き。



【屋根ウラ】白又敦さん屋根ウラ、白又くんに正直そんなに期待してなかったけど、いや、上手だったなー!! あのひょろっとした体型で、基本姿勢が猫背で腰曲げてて目を見開いてるの、気持ち悪かった!! 出てくるところとか、手の動きとかも工夫されていたので、彼だけに注目してるのも面白かっただろうなぁと思いました。 
少年励ます時の青年の役も良かったですよねー。「不安残すわぁ」て言われますけど、頼りになる兄貴分っぽくて。木の実コンビ好きだった方にはたまらないシーンだったんだろうな。ご本人のブログを見ると、結構苦労された感じのことも書かれていましたけど、今回のを経て、さらに成長される役者さんだろうなーと思いました。多分、元気ではっちゃけてるの以外にも、こんな気持ち悪い役が出来てるんだから色んな役が来るよ!! 活躍楽しみにしてる。



時計ちゃん、イス職人、屋根ウラ……の客弄りとそれを兼ねた注意(生首切り落とし)を終えて、突然始まる本編。
いっきなりの乱歩ネタで、ミステリな感じで、戸惑われた方も多いかと。おどろおどろしい石膏で塗り固められたマネキンの大軍…で始まるんですからね。でも、団長が出て来て、それが演目であることが分かります。この作り秀逸だよねー。一瞬客を置いてけぼりにすると思いきや、すでにサーカス見に来ていた観客にさせられちゃってんだから。色んな部分で客を巻き込んで行く作りでした。



【イン獣/シズ子】加藤良子さんイン獣。シズ子。……説明もしてくれる役。きぐるみチックなお衣装が可愛かった。もふもふ!!もふもふ!! 「美しい方、お名前は」て聞かれて「はーい!」てな感じに手を上げているの可愛い。違うと分かってしゅーんとして、団長から何かおやつ貰って宥めてもらってるの超かわいい。ひそかにそういうのたくさんやって下さっていたのに、ナカナミコンビばっかりに目を向けていたばっかりにとりこぼしている部分が……。悔しい。
一番泣かされたのは、やっぱり小説家とのシーン。「あなたのファンです!」からのシーン。あそこ、千秋楽付近にはちょっと尺が短くなっていたのが残念でした。あと正直曲もいらなかったなー…と。静寂の中で、黙々と原稿用紙拾い集めて、「ファンだったのに、知り合って、押しかけてしまって……気付いたら一緒に暮らしてました」「なんとかしようと思ったんですが……ふがいない」が静かに静かに、ゆっくり繰り広げられるのが良かったかなー。ぶわわっと涙が溢れてきます。そして「最後はきっと、ハッピーエンドの話!!」ここにだーって泣かされた。「がんばって、あなたの決めたことを受け入れます」という死を覚悟する切ない台詞もたまらなかった。でもこれ、後から台本見たら「がんばって…。あなたの決めたことを受け入れます」なんですよね。うお、句点の位置でだいぶ意味合いが違う。私は自分達が頑張るという風に捕らえたんだけどなぁ。 小説家に頑張れって言ってたのか……? いや、でも両方かなー。



【ジゴクの道化師】杉山未央さん
ジゴクの道化師。杉山さん。みやこっ!! 可愛かった。可愛いのに、二十面相になることが多いので狂気を見せてくれた感じ。楽しそうに道化師劇場されてるのが印象的でした。でも、少年なぐさめてる時の道化師の演技には泣かされた…「いつか、君も誰かを笑顔にしなきゃいけないんだからね」という言葉、優しいし素敵だなぁ、と。でもこちらも、うしろのナカナミコンビにばっかり視線がいってしまうので……くやしい。ちゃんと見たかった(それは自分が悪い) あと衣装が可愛い。スカートであそぶ唐橋さん込みで可愛い(笑)



明智コゴロウ】井俣太良さん名探偵明智コゴロウ。井俣さんはさすがとしか……。看板役者として、間違いない存在感と圧倒的な吸引力というか……。ナミコシ警部とナカムラ刑事のことなんて歯牙にもかけてない感じの名探偵っぷりも好きだし、まぁ何より阿呆になる所の演技が凄くて、毎回笑わせてもらいました。あの周りを呆然とさせる感じ、凄く好き。最初見た時、度肝を抜かれた……。あと、マント捌きがとてもとても上手で!! あの決められた範囲で、ばさっくるっ!と綺麗に翻しているのは井俣さんだけ。惚れ惚れします。黒スーツにマント姿は都合3人いるわけですが、井俣さんのが一番迫力あって格好いいかなー。圧倒される感じ。強そう。
で、何よりも言いたいのは、ラストのシーン。いやー…あれは泣かされる。「だが……すまん」と土下座するシーン。誰よりも一番小説家とコバヤシ少年のことを危惧していたのは多分彼で、でも世界の構築を進めたのは彼だからきっとみんなのことも大事に思っていて……。繰り返される物語の中で、ウチュウ飛行士二十面相を殺した時のことを想像すると、胸が痛くなります。さらに、「極上のミステリを作り上げてしまうんだからな」というあそこの台詞を踏まえると、これが何度目かの「やり直し」なのだと気付かされます。時計ちゃんに戻されて、またなんとかして妄想世界から抜け出させようと一人で奮闘されていたと思うと……ううっ。孤独と苛立ちが如実に見えるのが、ウチュウ飛行士が現れた時の「ちっ」という舌打ち。仲間を手に掛けてまで終わらせたいのに、終わらない。そのジレンマがとてもよく伝わってきた。それで、土下座ですよ。泣かないわけないじゃないですか。
初日とか2日とかはさほどでもなかったんですが、千秋楽近くでは井俣さんもこの最後のシーンで結構泣いていらっしゃって!! もちろん演技かもしれませんよ? でもあんな泣き方されたらなー……。もう泣かないで済むと思っていたのに、それを見て泣いてしまうというやつです。にくい……。
あと、ツイキャスが可愛かったので、ぜひまたやって欲しい(笑) 愛すべき変人二人とか、なついてくる大型犬連れてやってほしい。




【コバヤシ少年】松田凌さんコバヤシ少年は、いやー、魅せてくれました。彼に泣かされたという人は多かったと思います。しかしガイムの時はともかく、メサイアの時は、こんな風に化けると思ってもなくて! クロードで見た血まみれ恍惚のあの回がドドンっと蘇ってきました。楽しそうに、生き生きと舞台駆け回ってる姿はほんとに少年でした。
そして、怒濤のラスト。「そこまでだー!!」……この繰り返しに、涙腺崩壊したよね。「楽しくやろうよ」と泣きながらただをこねるように訴える所、客席で蹲って涙で喋れなくなっちゃう所もきた。あんな風に少年に泣かれたら、観客泣かないわけがない。この熱量を毎回毎回……役者さんはすげーな、と思いました。ガチ泣きですもん。毎回あそこまで泣いてたら消耗すごいだろうに、次の回ではけろっと「11歳だーっ!」てやるんだもんなー。当たり前だけど、凄い。
そして、これは、乱歩の物語ですが、コバヤシ少年の物語でもあったんだな、と。ウチュウ飛行士が「君は、彼だから」というその一言で、ああ、この子もみんなに大事にされて来たんだなぁと感じました。明智先生だって、小説家を起こすだけじゃなくて、コバヤシ少年の退屈もなんとかしたかった。団長がその繰り返しに乗ってあげる所の顔、みんなの顔。それを見てると、本当に愛されているのが分かります。いいキャラだなー。
彼が主役の物語、彼がどんな風に紡いでいくのか、とても興味があります。




【パノラマ】山川ありそさんパノラマさん。団長。ありそさん。凄い素敵でした……。ありそさんの通る声が好きなんですが、今回は動きも可愛かったなー。焦ってる感じの動きとか、道化師から切られて腕ちぎれたり真っ二つにされそうになるとこの動きが見事。あと、何より傀儡にされておねーちゃん役をやってる時のカラクリ人形っぽい動きが凄すぎ。他の人も上手なんだけど、ダントツで動きがカクカクして機械仕掛けな感じがしていて気持ち悪かった−。
で、ありそさんで何より言いたいのは、ラストのシーンな。何度目かの繰り返し。客席で蹲りながら「誰の許しを得てやっている?」と涙ながらに言うコバヤシ少年に、膝を折って「許しとは、なんのことだ」と聞き返すシーン。めっちゃ優しい顔してんの!! これ最前列で見られて良かった!! この台詞きっかけで、団員達が動き出すので、たまりませんでした。やっぱありそさん好き!!



【小説家】小澤亮太さん
小説家。乱歩。おざりょ。私結構好きでした、この役。もっともっと面白く出来たんじゃないかと思うんですが、あえてそうしなかったのかなー、と。ルパンがあそこまで自由なので、そこは遊ばないようにしていたんじゃないかな、と。良いキャラだから良いように見ておきたい。でも、ラストの方はもう苛立ちとか戸惑いとかがバンバン出でて、演技めいた鼻に抜けるような口調じゃないところが出てきてて面白かったなー。人間味あふれてて。対応しきれず固まっちゃうとかも、キャラ的にはらしくていい。そんな素の小説家が見えてくるとなんか断然好きになりました。
シズ子とのシーンは口調もちょっと違うので、妄想と現実の境がゆるく交わっていくのがよく見えました。もうちょっと葛藤が深めでも良かったかな、とは思いますが!
あとねー、やっぱおざりょは花があるんだよなーと思いました。目力というか…存在感? 真ん中にいてもおかしくないレッド気質というか。マーベラスだったからそう見えちゃうのかもしれませんけど。やっぱ目がいくんですよね。それは多分努力じゃどうしようもないものの一つだろうから大事にしてほしいなぁ。
小説家として生き生きネタになると編集者をやりこめるところはどんどん上手になっていって面白かったです。つかみ取ったネタを投げ捨てたーと思ったら「ひろって!」とか言ってたアドリブも好き。物書きがネタ得た時って、ほんとあんな感じ……テンション高めなんだよね。




【編集者】堀池直毅さん
編集者。堀池さん。堀池さんは社中の中でもわりと先に覚えた人(この前もサリーちゃん可愛かった…)。凄い好きです。あまり口にしてませんでしたけど、実は編集者については色々色々考えていた。立ち位置的には小説家よりなわけじゃないですか。一緒に驚いたり戸惑ったりしなきゃいけない。ホントは全部彼の為に組み立てられた物語だと知っていつつ、です。そこが編集者さんの凄い所だなぁと。
サーカスに誘う役として重要なんですよね…。だから、とんでもない事態に一番やきもきしていたのは彼に違いなくて……。どう物語を修正していくのか相当悩んだに違いないと思うと、またちょっと見方が変わってきます。怪人二十面相明智さんに言いかかって行くのもそういうことだろうな、と。あそこ最初見た時、あら、この人がこんな風に怒鳴ってくるのね…? というちょっとだけ不思議な感覚になったんですが、じっくり考えると立ち位置的にはなるほどな、と。
あと、身体能力の高さに驚かされる。コバヤシ少年の銃よけて飛ぶとこも凄いんですけど、私は傀儡にされちゃって飛んでくる立て膝で座りこむあそこの動きがすげーって毎回思ってました。弟ちゃん役も気持ち悪かった−。




【アルセーヌ・ルパン】鈴木勝吾さん
ルパン。しょごたん。今回のMVPは間違いなくこの人かと!!! スタイリッシュ金ピカ。もう、全部が見せ場だ。甘く見てた。あんまり知ってなかった。私の知らない間に、とんでもない成長してた。無邪気に妖艶に、本当に堂々と自由でした。格好いい。衣装のせいももちろんあるけど、とにかく目が離せない。これでファンになった方も多かろうなぁ…という気がしました。
歌って捌けるとことか、めっちゃ笑ってしまった。「馬はシルバー俺はゴールド!!」もだけど「また会おう〜♪」とかも歌ってた時あったなー。 身振り手振りも大袈裟で、でも指先まで麗しくてなー。色々増えてく自由度高いのが全部見たくて押さえなきゃ勿体ない!という気にさせられました。耳元で話をする時に乱歩さんのこめかみ(ほっぺ?)にチューしちゃったり、千秋楽では「派手に決めろ」とか「豪快に行け」とかアドリブ入れてくれて、ほんとありがとう!!
阿呆になった明智さん見てる時の顔がホントに楽しそうで、唯一大笑いしてるので凄い見てて萌えました。
あと、おざりょとの殺陣が凄かった。前で別の演技してる中でずっと戦ってるの、大変だろうなぁ…と。しかし、そのせいか最後の方「君らめっちゃ仲良しやん」て見えてしまった。命狙ってる人と狙われてる人なのに、きゃっきゃっしてた。いや、いいんですけど。めざまし時計機能止められた後に、ポンポンと叩いて小説家に教えてあげるのとか超かわいい。あと、剣のさばき方がやっぱり上手だなーと。毎回はやってなかったんですが、くるくるっと美しく回して鞘(じゃなくてステッキ)に戻したりしていたので!! シンケン……! マジトーンになる時の色っぽさも推しておきたいな!!
しかし、ラストの「スタイリッシュ金ピカ参上」は泣いてる最中に来るのでやめてほしい。笑うから。笑ってまた泣けるから大変でした。顔の筋肉大変。あと、カテコでもずっとルパンなテイストを崩していないのが偉いというか、恐ろしい子……てなりました。指先の動きひとつ取っても、キャラなのだよな……。



【K☆ケイ】廿浦裕介さん
K☆ケイ。廿浦さん。イケメンなのに、どうにもこうにもイケメンに見えなくて困った(笑) ミラーボール男、ほんとまぶしかったです……きらきら。意図してない反射に「うっ…」てなったこともしばしば。あの妙なポージングと「しらなーい!」の口調、しばらく真似したくなる。というか、してしまう。「いえーい」も。何だろうあの 低い声での回想は男前でどきっとしますね。「いつかお別れしなきゃいけない」という言葉は残酷に聞こえるけど、真っ直ぐな真っ当な励ましなんだよなぁ。ずっこけ三人組の演技、大好きです。




【イモムシ中尉・イモムシ婦人】岩田有民さん・内山智絵さん
岩田さんと内山さん。正直、私が一番最初に泣きそうになるシーンは、内山さんのお祖母さんでした。「お世話になります……? 何言ってんだい!! ………強い子たちだねぇ」というあそこ!! あれに思わず涙してしまう。後ろでほっと胸を撫で下ろしてるナミコシナカムラと同じような感覚で、姉弟良かったねぇぇ!て感覚になってました。あのシーン、ほんと好き。うるっときたとこで、「じょうけんつきでよーし!!」なのでまた笑っちゃうんですよね。でもイモムシ夫妻の時はひたすら面白くてなー!! エロいよ、エロい、婦人!! 弄んでる感大。見事に表現しておられましたねー。めっちゃ股間わしづかみにしてた……ww ケイにも手を出してた模様なので、ほんと不貞な妻。
で、ゆーみんさんは、どの程度見えていたのかが気になるったら。耳はともかく、あれ目隠しは結構見えていないですよね。ほんと凄い役だなーと思いました。で、傀儡になってる時の「イモムシ拳」がまた笑える。「イモムシ丸ー!!」て一人で盛り上がって一人でショックを受けてるのが…。井俣さんいい、ああいう独壇場……社中さんほんと上手。でも、全てが明かされたあと、みんなが集合してる場面でのイモムシ夫妻にはまた泣かされる。中尉の嗚咽がねー…響くんですよね……。そして、一生懸命鼻水とか拭いてあげてる夫人にもまた泣かされる。
そして何より、再び繰り返されるサーカスの序幕、「何がおきてる、おしえてくれよ!!」が同じテンションなのがまた嬉しくて泣いてしまうのです……イモムシ夫妻私の中ではかなりもっていかれるキャラでした。



【黒トカゲ】吉井怜さん
黒トカゲ。吉井さん。おみ足うつくしい。あれは乗られて踏まれたい男性も居るだろうな…。細くてほんと羨ましいやら心配やらで。どこまでも変わらない演技をしておられたのが飄々としていて良かったかな、と。井俣さんとのダンスはバランスが良くて素敵でした。



【押し絵とタビする男】川本裕之さん
副団長。川本さん。川本さんもさすがですよねー。慌てる団長との対比がとても良かった。見せ場が多いわけではないけれど、しっかりあと観客をマネキンにしてしまうあたりの雰囲気作りがとても良いなーと。「そうですよ?」とか「うまくできてるでしょう?」とあのトーンで言われたら、ちょっとゾクっとするよね。
額縁持ったままなのが大変そうだなーと思ってました。




【ウチュウ飛行士】松田岳さん
岳くんは登場が遅いので、ファンの人はまだかまだかと思っていたことだろうと。でも、最初の二十面相は言葉通り岳くんなんですよね……? マントさばきがどんどん上手くなっていくのが印象的でした。背も高いので、岳くんの二十面相はスタイリッシュな感じ。
あと、羊が可愛い。しかし何故羊なのだろうとずっと考えてました。うつし世のゆめに誘う役だから、羊なのかなーと終わってから気付きましたが。ウチュウ飛行士ならもうちょっと星とか黒い空っぽいのかと思っていたら。でも可愛い。あれ似合っちゃう岳くん凄いなー。
でもおねーちゃんの恋人としては……私、凄い酷いなぁと思って見てしまいました。「これからも頑張ってほしい。あいつも天国で君の活躍を楽しみにしてる」という一言は、呪詛でしかない。あれが小説家を縛り付けて追い詰めた言葉に違いなくてさ……もちろん、そんな一言なくても、「もう楽しんでくれる人はいない」ってペンを置いて生きる意味をなくしてしまったかもしれないけど………きっとお兄さんのことだって信頼して好きだっただろう小説家の彼は書かなきゃいけないという焦燥感に駆られて壊れていくしかなかったんだろうな、と思ってしまうと……ううっ。決して悪気があるわけじゃない一言が重いことってあるよね。
でも妄想のウチュウ飛行士はそれも悔いているような表情をするので憂いを帯びてて良かったなー。あと、最初片目つぶってたのが演技なのかどうなのか知りたい。




【ナミコシ警部・ナカムラ刑事】唐橋充さん・松本寛也さん
ナミコシ警部・ナカムラ刑事。唐橋さんと松本さん!! 大好きです!!
もう、始まる前から期待しかしてなかった。二人が共演というだけで嬉しいのに、こんな風にコンビで扱ってくれて、しかも自由に楽しそうに演じてくれてどうもありがとう、と。「普段の二人」みたいなことを言われていたと思うのですが、ほんと終始そんな雰囲気できゃっきゃしてたのが印象的でした。

さあ、誰よりもことこまかに言ってくよ。

何度も言うように、「なんじゃこりゃぁあ!!」と飛び越えてくる瞬間のナミコシ警部にやられました。 そんなに最初から出てくると思ってなかったので、嬉しかったなぁ。あんまり大筋関係なさそうなキャラだと聞いてからは、あまり出てこないことも想像していたので、まさかのずっと出てる状態にほくほくしました。
最初の雰囲気作りという点では、これが「社中と東映をつなぐ」という役割だったのかなー…と思いました。もろちん、二人は東映枠なんでしょうけども、でも社中さんの作品も経験者で、どっちかと言うとキラキラ特撮ヒーロー枠というよりは、舞台役者としての立ち位置の方で求められていたのかな、と。何も言われなかったというほっとかれ感が、その現れでしようかね…。毛利さんが二人のやりとりを面白く見ていたら萌える。

まず、二人の格好が可愛くて可愛くて。デザインして下さった方、本当にありがとう!!!! 唐橋さんのあの大正チック、金田一っぽい羽織袴姿、大好きです。縦縞の模様がおそろいで、かわいかった。(そういえば、わりと縦縞、ストライプの使われてる人が謎解きしていく人なのですよね、ナミコシナカムラ明智小説家) ナミコシ警部は羽織の縦縞切り替えが段々なのも素敵でした。背中のシーンが多かったので、あれはよく見えたなー。あと、足下もおしゃれ。鼻緒の赤い紐が、かかとの後ろにまわって固定してるのが可愛いなぁと思いました。くるくる回ってる時にインナーもよく見えた(笑) あと、丸眼鏡な!! あれもよく似合っていた。ナカムラ警部もまるっこい襟が可愛い。前髪もくるんとしているので、全体的にまるっこいイメージ。帽子も丸いし。出来る子(設定)なのにふわふわっとしているのがよく出ていた。

・「名探偵明智コゴロウっ!」とむすっとしながら言い直すナミコシ警部可愛い。
・「オレは悪くない、悪くないぞ!! そうですよね、ナミコシ警部!!」の台詞ですがりつくナカムラ刑事。そのすがりつき方が、結構がっつり足を握っておられて(まぁ袴にすがりついたらずれるからだと思うのですが)、思わず一回「足」て観劇中に呟いてしまった私……。唐橋さんの足首ほそい……(どこ見てんだか)
・団長が出てきてからは可愛いの応酬が酷い。リズムとって二人で小さく揺れてるの可愛い。サーカスだと明かしている所で照れくさそうに嬉しそうにぺこぺこと挨拶してる二人可愛い。「だまれ豚野郎ども」の所で「あちゃー」という顔で「すいませんね」とお詫びしてる感じのナカムラ刑事可愛い。ドラムロールでナカムラ刑事がエア太鼓してたらナミコシ警部が肩をその前に持って来て肩たたきになっちゃうの可愛い。「同じ顔!」で両手を組んで顔の横で振るのがシンメトリーなのも可愛い。
・ミヤコ(道化師さん)を片付ける時の二人の小芝居が毎回色々で面白かった。「オレは悪くない悪くないぞ、そうですよねナミコシ警部」(2回目)は「あ、聞いてなかった」というのはいつも一緒だったけど、道化師さん運ぶ時、凄いふわふわっとした動作の時と、凄い小刻みに1拍子で踊るみたいに揺れながら階段上がっていくの可愛かった。ナミコシ警部がこけると、道化師さんの動きも電池が切れちゃうみたいになるのがいいですよね。どういう仕組みなんだ…。
・その後の団員のダンスを邪魔しないための動き謎(笑) 服毒?服毒? あ、ミヤコさんが死んだのと同じように?? いや、しかし謎(笑)
・二人の端と端でのオープニングダンス、凄い好き。唐橋さんのやわらかい手の動きも好きだし、寛也さんのキレのある動きも好き。しかし、階段降りる前の紙飛行機作る動作のナミコシ警部と、それを投げて受け取る(または叩き落とす…または受け取って投げ捨てる)ナカムラ刑事のやりとりにも注目したい。あそこ、みんなちゃんと見てるかなー…前のダンスがメインだと思うのですが、書き物していた紙を折々しだして、嬉しそうに投げるナミコシ警部と、わくわくしながら見つめて、それが飛んでくる方向に階段を下りてくるナカムラ刑事が楽しくて。個人的には、紙飛行機を受け取ろうとする体勢のままふわりとダンスに突入するのが好きでした。ところで、正しい立ち位置でのラストポーズの集合写真が欲しい……ww
・文句口上。二人の台詞はもちろん素敵なんですが(窮地にはまり、気が触れるという言葉にドグマグを思い出した私)、あちこち行き来する18人が凄くてですね……。私も教えてもらって気付いたんですが、お二人に注目していると、階段上でナカムラ刑事が一度屈んで靴紐を直す仕草をするんですよね。そこにやってきたナミコシ警部が屈んでるナカムラ刑事の帽子の縁をすうっとなぞっていくんです。その手つきが無性にエロくていい!! 
・「これは新しい演目の稽古だな」と編集者が言ってる所の団員達の妙な繰り返しの動作。ナミコシ警部がどうもお茶を点てて差し出したりしていたのが謎(笑) あそこ、何してんだ……どういうシチュなんだ……。
・ナミコシ警部の迷推理、おもしろい。時計ちゃんとナカムラ刑事との「5分59秒」「6分でいいよ」の下りが好きでした。
・見えないルパンと乱歩さんが戦っている時、乱歩さんの動きを真似てる二人可愛い……。
・いつまでも紹介してもらえない二人も良い……。結局名乗りでも可哀想な感じだったのでなーわりと蔑ろに扱われているのが美味しい。いじける二人にもぜひ注目してもらいたい。超かわいい。ナカムラ刑事が最初はいじいじしてただけなのに、途中からナミコシ警部の背中にぎゅっと縋り付いてたりするもんだから。そんなに悲しかったかい…と(笑)
・喧嘩していくシーン。嬉しそうに殴り合いしていく二人が可愛い。笑顔なんだもんよー。ノリノリ。その後黒トカゲが出て来たあとに空気が凍り付くシーンでは「うっわー…」て動きがゆっくりになって「こわい……こわいこわい……」て声には出てないけど口パクで、ぷるぷるしてるのがまたツボで!! その後「いいぜ、おれあんまり寝なくていいキャラだから」「寝て下さい!」のテンポと空気読まない感じも好き。でも「分かった、じゃあ終わった結婚しよう」という初回の方にやってたネタも好きなんだけどなー。あの唐突感。お前もかーみたいなの。
・イス職人の回替わりネタ。これに対するナミコシ警部の反応も色々で、じつは全部見たかった。あ、その前の「カウチ?!」も好き。「あ、俺分かった当たったぜ!!」ていうのが結構好きでした(パラダイス) 
・傀儡にされてる時の動きは、ナカムラ刑事に注目。関節だけ固定されて、手先とかがぶらぶらちょっとだけ動きが残るのが秀逸。でもそのあと乱歩さんの命を狙う傀儡の動きはナカムラ警部が面白い。ぱーって言いながらぴょーいっと横断していく感じ(なだけ)なのが笑える。
・格好いいナミコシ警部は3箇所。明智探偵に本物がどんな人間だったかを明かされていくシーン。「もうやめろ」と言う台詞、あれ格好いい!! (その後、背中向けた演技が多いのも格好いい) あと、団長の「生きるよーに!」の後の「だってよ」と少年の肩をポンと叩くシーン。「生きるよーに」の真似っこも面白かったけど、「だってよ」はかっこいい。ラスト探しに行こうとする所で止められて「そんなこと分かってる」と言い放つシーンも。これはない回もあったので、見られてラッキー。
・「なんとか誤魔化せ!」「無理でしたー!」のテンポも好き。
・道化師ちゃんの後ろで、出て行こうとしては止めて、出て行こうとしては止めて…というのを互いにやって、最終的に手に手をとってダンスをする二人…コレ、見たいけど見えにくくてな……ていうか、何してんの?
・「連絡船が出港します!」のかもめとうみねこの真似が笑える。「はやいのねー」というやつも。その後の「寝たきりじーさんとこの孫だってよ」と、意外に大忙しなシーンww 二人が老婦人に受け入れてもらえてほーっと胸を撫で下ろしてるのが可愛い。
・「本持ってこよーっ」と少年のために動く二人可愛い。この本のタイトルも最初は「銀河鉄道の夜」とかちゃんと名作だったのに、「素敵な三人組」と「ズッコケ三人組」というのに落ち着いてましたね。で、「ズッコケ」の方を必ず読んでる少年にちょっと笑ってしまった。「小説家になる!」と言った時の「はっ!」て気付くとこも可愛い。「原稿用紙置いておこーっと」「ペン置いとこーっと」というさりげないわざとらしい二人が可愛い。
・行ってしまった小説家にみんながしゅーんとしているシーン。ここでのナカムラ刑事は三角座りで沈んでる感じで、ナミコシ警部は背中での演技。ここが結構印象的でした。
・ラストの、コバヤシ少年の熱演……ナミコシ警部だけが「原作者の許しに決まってるだろう!!」というところで「あははははは!」と笑う所について。これ最初は「ああ、また空気読まないナミコシさんが。かわいいなぁ」とか思っていたのですが、コバヤシ少年が出てくる所からずっと注目していると、その瞬間から笑っていらっしゃるんですよ!! もちろん単なる空気読めない(読まない)天然さんなのだと見ることもできますが、ナミコシ警部だけがコバヤシ少年の楽しくやりたいという思惑に最初から気付いていたとしたら……? 「また始めるんだな!」と即座に気付いて乗ってあげたんだとしたら……?? 必要以上に泣いてしまいました。だとしたら、とても格好いい。
・団長の言葉と共にみんながそれぞれの位置に移動しようとした時、戸惑うようにナミコシ警部を見るナカムラ刑事の視線が良い!! ここにきてまだ判断を仰ぐ姿がとても愛らしい!! それに足をひょいと蹴るような動作をして立ち上がれと促すナミコシ警部も素敵。
・ルパンの登場に心底驚いた表情のナカムラ刑事が可愛い。



以上!! キャラごとにあきらかに差のある感想文ですいません!!
本当に素敵な舞台だったな……。
あんなに見たのに、はやくDVD見たいもんね。

遅くなりましたが、本当に関係者の方々はお疲れ様でした!!